山口敬之著【総理】読んだ

山口敬之著【総理】読んだ。貪るように。政治の中枢で日々行われている生々しいやりとりの描写に引き込まれた。SNSで見てなにげなく深夜に買い、翌日の朝食までには読み終わった。このパワーはなんなのだろう?

どこまでを「ジャーナリスト」というか、僕にはわからない。著者の山口氏は「権力を書きたかったら奥の奥まで踏み込まないとダメだ、ただそれを伝えるときに手心を入れてもダメだ」というのが信条の人だ。そういう人間は信頼される。現時点での日本国の最高権力者、安倍晋三総理から信頼され、プライベートや感情をここまでむき出しにさらけ出されたひとはなかなかいないだろうし、それを一般の人が読めるような本にするなんて普通考えられない。例えば、ナベツネは同じことを書くだろう、いや書かない。彼はジャーナリストという立場でありながら自らプレイヤーになってしまったからだ。プレイヤーになってしまったひとは内幕を書くことはできない。

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この本は、2007年の第一次安倍政権、参議院選挙大敗前夜からはじまる。この選挙後、はたから見れば不可解な理由で総理の座を投げ出したかのように見えた安倍晋三氏。そこから再び権力の座につくには長い時間と、戦友と、お互い尊敬し合える畏怖の存在がいた。これはそのレポートだ。

筆者は僕らから見ると信じられないような場面に立ち会っている。消費税延期をめぐって、総理と財務大臣兼副総理が対立し、それぞれからメッセンジャーとして頼まれるのだ。生々しいやりとりはぜひ本書を見ていただきたいが、テレビ局の政治部記者はここまでの役割を担うことがあるのかと驚いた。いや、そんなことができるのは山口氏以外ではごく少数なのかもしれない。

政治家同士の理念の違いからくる対立と根回し、それを突破する意思。久しぶりにいいノンフィクションを読ませていただいた。

政治小説としても一級だと思えるこの作品が、ノンフィクションということにも恐れ入る。ぜひ、本書を手にとって読んでほしい。いまの政治リアリティがわかるはずだ。

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