先日、住宅業界に詳しい方と飲んでいたんだけど、ふと驚愕の事例を聞いてしまったんだよね。
某氏から聞いたんだけど。
旦那年収430万・妻年収270万で6500万円のマンション購入を後押しする無料住宅相談サービスが世の中にあるそうな。しかもFPさんの計算もついてて購入OKとな。恐ろしいサービスじゃ…
清水寺の飛び込みを後ろから蹴り込むような所業である。— のらえもん (@Tokyo_of_Tokyo) December 21, 2017
上記を呟いたら2000リツイート以上とめっちゃ拡散されました。反応はほぼ否定的なもの一色で、肯定はほとんどありませんでした。ちなみに上記数字は聞いたそのまんまじゃなくて、ボカして書いてます。驚くことにマンション価格は変わらず世帯年収のほうが更に低いんです…(震え声)。そりゃ実家が太くていっぱい援助が可能とか貯金が4000万円あるとかなら分かるんですよ。この方たちの頭金は1000あるかないかでしたから呆れて顎が外れた。最初は冗談かと思ったもん。
いま、タガが外れているのか、売り手も貸し手も上記のような相談サービスも”世帯年収”10倍の物件とかを平気でおすすめしている現状が一部であるようです。可処分所得が上がってない中、6000・7000のマンションなんて誰が買えるんだと思ったら、そこかしこでこういうのが頻発しているのかもしれません。
読者の方は上記事例がどれだけヤバいのか感覚的におわかりになるかもしれませんが、一応書きますと
旦那の年収430万円:ボーナス除いた毎月の手取り額は月20万円台前半
逆算すると住宅に裂ける適正予算は7〜8万円。子どもがいない今なら奥様の収入を足してちょい気張って10万ちょい。
⇒都下もしくは神奈川県や埼玉県、千葉県で賃貸2LDKは十分借りられる額となりますね。
一方で、上記事例だと住宅ローンは5500万円からスタート・35年変動0.6%で計算すれば14.5万円/月。
マンションは保有すると、管理費・修繕積立金・固定資産税がかかるものだからどんなに安くても住宅ローン+2〜3万円くらいの出費がかかります。旦那の昇給幅があまりなければ、奥さんが妊娠されたらもう詰みです。もちろん旦那の昇給幅がこっからとんでもなくて、毎年100万円賃上げされ続けるならオッケーかもしれませんけど。家族が幸せになるために住まいを買うのに、その支払いのために妊娠をためらうってどんなディストピアよ。
この上記事例の「無料住宅相談サービス」ってのは、お察しの通りであります。イ◯◯に窓口がある住宅相談に軽い気持ちで訪ねたら地獄の始まりですようこそこんにちは、みたいな世界が待ってるわけです。大抵の人はこれはおかしいと思うみたいなんですが。
(時間があいたのでパワポで図形お絵かきしてみました。それ以上の意味はないです。)
最終的なジャッジ、そして責任はもちろん消費者なわけなんですが、本当にいいんですかねこれで。
しかも、FPさん(無料)が計算してくれるらしいんですが、真顔で世帯年収10倍拳を「お客様が生活を工夫すれば大丈夫です」とか言うらしいんですよ。工夫ってなんだ。子どもを習い事も塾も行かせず、車は持たず、服は全部しまむらにすることか。
FPの倫理規定第一条は「会員は、順法精神に基づき、顧客の最善の利益を追求しなければならない」はどこに行ったんですかね、あ、この場合の顧客は目の前の相談者ではなくて相談センターの人たちですかそうですか。FPの名前を使ったはめ込み商法としか思えないんですが。
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対面サービスを無料で提供しながら、目の前の顧客に誠実でありつづけるのはなかなか難しいことです。人を雇って張り付けるのも、入りやすい窓口があるオフィスを用意するのも、内装を綺麗にするのも、広告宣伝して集客するのも、全部お金がかかります。それもめちゃくちゃかかるわけです。
また無料相談した結果、「あなたにオススメ」と紹介された新築マンションリスト、それ本当に「売れている新築マンション」ですか?オススメの理由はなんでしょうか?
考えてみて下さい。売れている新築マンションなら、こういった顧客送客サービスを使うわけないのです。無料相談所側だってお金がもらえないマンションなんて紹介するわけがない。相談者の予算内だとしても、横浜北仲なんて売れ筋マンションは手渡されるオススメリストには載ってないのです。お世辞にも売れているとは言い難い微妙な物件、簡単な言葉で言えば売れ残りマンションが列挙されるわけです。
無料サービスはどうしても情弱をカモにしたビジネスモデルとなりがちです。情報はタダと思ってる日本人が多いので、無料じゃないと規模の拡大ができません。でも、この眼の前で起きている惨状をなんとかしたいなぁ、そう思うわけです。